2011年11月8日火曜日

TPP推進派の論理には無理がある。・・・野田総理の発言にも無理がある。

昨日もテレビでTPPについて推進派と思われるキャスターと農業に詳しい民主党の議員が話をしていたが推進派と思われるキャスターは反論どころか反論もできない状況だった。
つまり、話にならないほど推進派の論理には無理が多い。
農業に関して言えば、推進派は都市部選出の議員が多く現状の農業の実態をほとんど理解していない。

またTPPを推進しないと国内の工場が海外移転して空洞化するというが、関税以上に影響が大きいのは為替相場であり、もう一つの大きな要素が人件費だ。関税の影響など微々たるものだ。
人件費率の高い産業は、ほとんどが海外生産に移行している。
国内に生産拠点が残っている部分はロボットなどによる省力化が進み人件費率が低い部分と技術流出させたくない高度な技術を必要とする部分に集約されつつある。
だから関税と工場の海外移転は関係ないと言っても、言い過ぎではないだろう。

また、大水害に襲われているタイやお隣の韓国がユーロ圏とのFTA締結で関税がゼロだから有利だと言うが、実は日本企業は3国間FTAという方法で、関税の影響を最大限に抑えようとしている。
例えば日本はタイと2005年にFTAに合意しその後、2007年にEPAも締結している。
これにより、自動車部品は2011年には関税がゼロになるはずだ。その他の工業製品も条約発行から10年後に関税がゼロになるはずである。
これにより、日本からユーロ圏やASEANへの自動車部品などの輸出は、タイ経由だとで低い関税または関税ゼロで輸出できるはずだ。(完成品の付加価値基準の適用などにより国により差はあるが・・・)
タイにトヨタ系の日本の自動車部品メーカーなどが多く進出した理由の一つがこれである。
であるからして、関税の問題は自動車部品メーカー等にとっては、そんなに大きな問題ではなくなっている。

進出の理由のもう一つが人件費の安さである。
実はFTA、EPAなどは人件費の安い新興国の方がメリットが大きい条約なのである。
タイやインドなどの振興諸国は、ユーロ圏などの先進諸国とFTAやEPAを締結し関税を低くすることで逆に工業化の進んだ日本などの先進諸国の投資を呼び込み、経済発展を遂げることが可能となる。また進出する企業にとっては新興国の人件費の安さも魅力で投資を呼び込むための大きな要因ともなっている。

このように人件費の高い国にとってはFTAやEPAは余りメリットがないのが実情だ。
いくら関税をゼロにしても生産コストが高くては価格競争では勝てないからだ。
生産の海外移転の最大の要因はコストの問題である。
それに加え日本は原発事故で放射能検査などのコストが付加される。
TPPで輸出が増えるという論理には矛盾がある。

農業の問題でも同様で、広い農地と安い人件費の国の農産物と対等に戦えという論理には無理がある。

今回のTPP論議には「人件費と言う名の労働コストによる競争力」に対する認識が欠けている。
極論をいうならば、農産物の関税自由化は「専業農家にタダで働け」と言っているのとおなじことなのである。だから農家(林業・漁業)の所得補償が必要であり、それをやらなければ専業農家は生活できなくなり壊滅する恐れがある。それに伴い日本のもつ農業技術や伝統文化も失われてしまうことになる。(輸入農産物が売れる売れないは別として農産物の価格競争が激しくなることは間違いなく、それに伴い農家の所得が激減する可能性は高い。・・・過去の林業がいい例である。)

野田首相がG20での「消費税増税発言」は公約でなく説明だと言ったそうだが、あまりにも姑息な国民を馬鹿にした発言だ。
「あなたの発言には無理がある。」と思う国民は多いと思う。

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