2013年2月25日月曜日

安倍政権はアメリカの言いなり?・・・TPPはどうなるのか?

安倍首相やマスコミが、どう説明しようが「アメリカの言いなり」というのが妥当な見方だろう。
そもそもTPPは関税の例外なき撤廃と自由化が原則である。
下記の記事内にある「交渉参加に際し、一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」という文言も、よくよく聞いてみると、それに対してオバマ大統領は「確認する。」と答えたにとどまったようだ。
これも、当たり前の話で、TPPは多国間協議である。アメリカ一国で決められるものではない。
何においても、アメリカの了解が必要になるという日本側の姿勢をみれば「アメリカの言いなり」というよりも「アメリカのお伺いを立てなければ何もできない。」という表現の方が妥当なのかもしれない。協議に入る前の段階でアメリカにフリーハンドを与えたようなものである。
そもそも自民党はコメなどを例外品目扱いとすることを求めていた。それが可能であるとJAなど国内の支援者に向けて説明し必ず守ると約束してきた。しかし、そうした「公約」は反故になる可能性が高い。
自民党は、これらの団体にどう説明するのだろう。

首相、TPP交渉参加表明へ 関税の聖域、日米確認
【ワシントン=藤田直央】安倍晋三首相は22日昼(日本時間23日未明)、オバマ米大統領とホワイトハウスで会談し、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加について「あらかじめ全ての関税撤廃の約束を求められない」とする共同声明を発表した。首相は会談後の記者会見で「なるべく早い段階で決断したい」と強調。3月上旬にも交渉参加を表明する意向だ。
自民党は昨年末の衆院選で、TPPの交渉参加について「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」と公約。首相は会談でこうした事情を説明し、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品など二国間貿易上のセンシティビティー(重要項目)が存在する」と述べ、関税撤廃になじまない品目があることを指摘した。
その上で「最終的な結果は交渉で決まるもので、全ての関税撤廃をあらかじめ約束することは求められない」ことの確認を促すと、大統領は「確認する」として同意。両首脳は会談で交わされた合意内容を共同声明として発表した。(朝日新聞)


私はTPP反対派である。多国間における経済連携協定を推進しなくても二国間の経済連携協定の方が自然であり、それが本来の経済連携のあり方だと思っているからだ。
それぞれの国には文化や生活習慣の違いがあり、今回のTPPのような包括的な経済連携協定は、これらにも大きな影響を与えるからだ。

日本のGDPや税収のデータ、可処分所得の伸び率などを見る限りにおいては日本国内の経済の成長のピークは1990年だと思われる。それ以後は緩やかな下降線を辿っている。
一例を挙げてみよう。

(注)平成12年暦年基準   (出所)総務省統計局 家計調査

上のグラフからもかるように、ここ10年で見る限り 「可処分所得」・「消費支出」ともに、減少している年が多いことがわかる。
国内の経済が成長する条件の一つは、家計の可処分所得が伸び、且つそれに伴い消費支出が伸びることである。1990年までは 「可処分所得」・「消費支出」ともに、増加していた。
また、税収面で見ると、自営業者や中小企業数の減少が挙げられる。
中小の小売店や中小企業数は年々、減少している。
TPPの問題点として、このような中小の事業者の減少に拍車がかかるのではないかという懸念も挙げられる。

このように国内の家計の可処分所得、消費支出の減少傾向が続く中、輸出を増やして家計の実質所得や可処分所得や労働者数を増やそうというのがTPP参加の目的の一つではあろうが、輸出構造が大きく変化した現在では、それも余り期待できないように思える。

そもそも、アメリカ型自由主義に限界が来ているのではないかという見方が広がっている中、本来の日本、そして日本人が持っている道徳観や倫理観や家族観というものを、もう一度見直す時代にきているように思う。
TPPが、日本社会の構造や生活慣習までも変えてしまう要素を持っていることに危機感を感じる今日この頃である。





2013年2月20日水曜日

1月貿易赤字が過去最大に・・・どうなる国民生活

アベノミクスの行く末が少し見えてきたような気がする。
つまり、円安で輸出は増えるが、それ以上に輸入の増加率が高まるという現象だ。
実は、この問題はTPPの問題点を指摘した時にも述べたが、日本の輸出は完成品での輸出が減り、中間部品などの半製品の輸出比率が高くなっている。なので円安になっても輸出の伸び率が、以前ほど高くならない。逆に輸入品は原材料の比率が高いので、ストレートに輸入の伸び率に繋がる。輸出企業の現地生産比率が高くなっていることとも密接に結びついている。
これは、構造的な問題と捉えた方がいい。
且つ、輸出については金額ベースだけではなく数量ベースも注意してみる必要がある。

1月貿易赤字が過去最大に 前年同月比10%増える
2013.2.20 09:16
財務省が20日発表した1月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、1兆6294億円の赤字だった。前年同月に比べ10.0%増えた。比較可能な統計が残る1979年以降、単月として過去最大となった。
輸出は、有機化合物、自動車用部品などが増え、同6.4%増で、8カ月ぶりの増加となったものの、輸入も石油製品、液化天然ガスなどのエネルギー関連の増加が7.3%で上回った。このため、貿易赤字が拡大した。(産経ニュース)

以前にも書いたが、輸入品価格が高くなれば国民生活にも大きな影響が出てくる。
暮らしにくい世の中になりそうだ。

最近、よく思うことがある。
新聞やテレビなどで「イジメ」の問題が取り上げられているが、一連の小沢バッシングを見ていると、これこそ公共のメディアを利用した「イジメ」ではないかということである。
「小沢イジメ」と呼ぶべきなのかどうかは別として、「イジメ」を戒めるべき立場にあるマスコミや政治家が公共放送や国会などで臆面もなく堂々と「イジメ」を行っている現状では、マスコミや政治家の「イジメ」に対するスタンスに疑問を抱かざるを得ない。
介護や教育、子育ての問題などを考えるとき、「家庭」という「家族の単位」が時代とともに変わってきたことを抜きには考えられない。
高度成長時代以後、家庭という家族の単位が小さくなってきていることと、現在の社会問題が密接に繋がっていることを、改めて考える必要があるように思えてならない。
そういう中で「大人になりきれない大人」というか、道徳観や倫理観が欠如している大人が非常に増えているように思えてならない。自己中心的な考え方の人間が増えているように思えてならない。或いは「精神的に自立できていない大人」というべきなのか。
携帯電話の普及も、大きな影響を与えているように思う。確かに便利ではあるが携帯電話の弊害も真剣に考えてみる時にきているように思う。
恋は一人でもできるが、恋愛は一人ではできない。愛は二人以上いて始めて成り立つものだ。
そして、二人以上が存在すれば、そこにルールが存在するようになる。会話が生まれる。
そこには、 道徳観や倫理観、価値観などの共有できる考え方も生まれてくる。
結婚しても3組みのウチの1組が離婚する時代である。
それがいい悪いは別として、そんな時代、結婚に期待しない若者が増えれば、益々、少子化に拍車がかかるだろう。
 「大人になりきれない男性」 と 「大人になりきれない女性」が結婚してもうまくいくわけがない。
などと勝手に想像している今日この頃である。
政治が腰を据えて取り組む問題の一つは、「家庭」や「家族」の問題なのではないだろうか。



2013年2月14日木曜日

日本経済の課題・・・問題の本質はどこにあるのか?

先日のブログでトヨタ自動車を例に挙げ「日本経済が純粋な需要増による景気回復局面には至っていないので、冷静に見る必要がある。」と書いたが、もう少し詳しく書いてみたい。

◎トヨタ、連結営業益1兆1500億円=円安効果で上方修正-単体も5期ぶり黒字化へ
※記事などの内容は2013年2月5日掲載時のものです
トヨタ自動車は5日、2013年3月期通期の連結営業利益予想(米国会計基準)を従来の1兆500億円から、1兆1500億円に上方修正した。原価低減などのコスト削減に加え、外国為替市場で昨年末から進む円安が寄与する。トヨタ単体の営業損益予想も1500億円の黒字(従来予想は200億円の赤字)に修正し、5期ぶりに黒字転換すると見込む。
通期の想定為替レートは1ドル=81円(従来想定は79円)、1ユーロ=104円(同100円)と、ともに円安方向に見直した。
連結営業利益を上方修正したのは、米国での大規模リコール(回収・無償修理)をめぐる集団訴訟の和解金負担があるものの、円安効果で1400億円押し上げるため。伊地知隆彦専務は、単体の営業損益について、円安がなくても原価低減などで「100億円の黒字は達成できた」と強調した。 
(時事ドットコム)

トヨタの生産台数の推移を見ても、2011年を除けば、国内、海外とも生産台数は順調に回復してきている。
しかし、 伊地知隆彦専務が自ら述べているように、為替差益を除いた部分での営業利益は原価低減などによる部分が大きい。
特に国内販売部分においては、根本的な問題を抱かえている。
トヨタの国内販売台数の推移を見てみると下記のようになる。
(トヨタ自動車ホームページ>トヨタ自動車75年史>国内販売台数の推移から)
上のグラフを見ればわかるように、1991年以降、バブル崩壊による経済の停滞やそれに端を発する社会構造の変化などの影響を受け、長期的な漸減局面に入っている。
表現が妥当かどうかはわからないが、自動車業界全体が衰退産業化していると言えなくもない。
これには、いくつかの原因が考えられるが、日本経済が抱える問題の本質がこのグラフから、垣間見れるような気がする。
では、こうなった原因はどこにあるのかを少し考えてみたい。
①若者の車離れ(車に関する関心の低下)
②買い替え期間の長期化
③購買層の所得が伸びない。
④軽自動車のニーズが高まり、普通乗用車のニーズが減少した。
⑤車の維持費に使うお金を他の用途に使いたいと考える人たちが増えた。
などが考えられる。
これらの原因は、短期に改善されるものではない。
人口減少時代を迎え、日本の基幹産業である自動車産業が衰退期に突入していると考えるべきだろう。
これは、家電業界や住宅業界などにも当てはまる現象だ。
こうして考えていくと、日本の産業の将来はそんなに明るいものではないし、小手先の産業支援策や減税政策などで解決出来る問題でも無いように思われる。
どうしても欲しいものなら多少、無理してでも買う。
ニーズを満たすだけなら、少しでも安いものを買う。
これが庶民の感覚ではないだろうか。
物価は需要と供給の関係により変化するものであることをもう一度、認識する必要があるように感じられる今日、この頃である。


2013年2月12日火曜日

安倍内閣の支持率上昇・・・だけど、日本経済の先行き見えず

安倍内閣の支持率が上昇しているようだ。
一言で言えば「民主党政権よりマシかな。」と感じる国民が多いということだろう。
積極的な評価でないことだけは、間違いないだろう。
もう一点、挙げるとすれば、自民党に対抗できる政党が存在しないに等しいような状況に陥り、国民の選択支がなくなってしまったことが挙げられる。
バブルの支持率と言えるだろう。

円安、株高が進み、一見、日本経済が明るい方向に向かい始めたかのような錯覚を受けやすいが、実態はそんな楽観視できるような状態ではない。
わかりやすい例としてトヨタの連結決算の業績予測を挙げてみよう。営業利益の80%は為替差益によるものだ。純粋な生産や販売台数の増加によるものでない。いわゆるバブル的な利益だ。
だから雇用増にはつながりにくい。
同様に、円高の影響による株高により企業の有価証券の含み益が増加するので一部の企業では利益が増加するが、これもバブルだ。営業活動による利益ではない。
このように、今の日本経済の状況は純粋な需要増による景気回復局面にはいたっていないので、冷静に見る必要がある。
景気回復のためには、「賃金上昇(家計所得の上昇)が大きな条件になる」と一般的には言われているが、これは正確には「家計の可処分所得が上昇することが大きな条件になる。」と言うべきだろう。
いくら賃金が上昇しても、賃金上昇分以上に、物価や税金、社会保険料や電気代などの上昇を招けば実質の可処分所得は低下することになる。
今までは、家計所得の減少分をデフレでカバーしてきた側面がある。
これは、ここ十数年の日本の小売業界の動向をみればよくわかる。
いわゆる中間層と言われる、可処分所得にある程度の余裕がある所得層が減少するとともに、いわゆる100円ショップやドラッグストアー、家電量販店、家具の量販店、ユニクロに代表される衣料の量販店、低価格の飲食店チェーンなどの低価格を売り物にする業態が急速にシェアを伸ばしている。
つまり、家計の可処分所得の減少に反比例して低価格を売り物にする業態が急速にシェアを伸ばしたのである。
低価格商品に対するニーズが急速に高まったと言い換えることができるのかもしれない。
あくまで個人的な意見だが、足腰の強い景気回復を目指すには、可処分所得を増やす政策が必要になるということだ。勿論、そのためには賃金のアップや需要の創出も必要だ。雇用の増加も必要だ。しかし、それらが家計の可処分所得の増加に繋がらなければ、本格的な景気回復を望めないのではないだろうか。
政治家や役人、学者は物事を複雑に見ようとするが、もっとシンプルに見るべきではないだろうか。
「無い袖は振れない。」
それが、毎日、数百円の小遣いで我慢している多くの庶民の声だと思う。

2013年2月4日月曜日

補正予算が出てきた。・・・地方の現状

大型の補正予算が地方にも廻ってきはじめている。
知り合いの建設コンサルタントが、「かなり仕事が出てますよ。」と言っていた。
しかし、急に出てきた仕事なので地元の業者も戸惑っているようだ。
実際に土建業者の数は全国でもかなり減っている。急に仕事が増えてもすぐに対応できるかといえば、必ずしもそうではなさそうだ。
この状態がいつまで続くのかもわからず、建設業者の中でも、この機会に儲けるだけ儲けようと考える事業者と数年後の状況を考え慎重に対応しようと考えている事業者に分かれているようだ。
ただ、話を聞いていると、無理に作ったような事業がかなりあるようだ。
毎度のことだが、選挙対策用の事業なども多くあるようだ。
すべてが無駄とは言わないが、公共事業予算が選挙や政争の具に使われることに関しては、納得いかない。また、どうしても必要な事業は本来、本予算で手当すべきであろう。

我が家の周りでもいくつかの工事が始まっている。数年前に掘り起こした歩道を、また掘り起こして工事している。人通りが少ない歩道を立派な歩道に造り変えている。
「もっと、他にやらなければならいけないところがあるのでは・・・」とか「もっと緊急性の高いものに予算をつければ・・・」と思ってしまう。
国も地方自治体も、急に出てきた予算なので、じっくり使い道を考える余裕がないようだ。

話は少し横道に逸れるが、地方の山村が寂れ、人口が減少している大きな要因は、一次産業の衰退にある。
農業はもちろんだが、林業の衰退の影響が思いのほか大きいのである。
一昔前までは、農業と林業を合わせた収入で一家(2世帯ないし3世帯)が生活できた。
だから後継者も地元に残り家を継ぐことができた。
ところが、農業と林業を合わせても、一家が生活できないようになってきたので、後継者は地元に残らなくなった。これだけが原因ではないが、地方の山村地域の人口減少、高齢化、限界集落化の大きな原因の一つが、この点にあるのは間違いないだろう。
それらの地域では、以前は地元の公共事業だけで建設業者は食っていくことができた。それなりの雇用を維持することもできた。
では、現状はどうなのかというと、地元の公共事業が少ないので、他の地域へ下請けで出かけなければ食っていけないというのが実情なのである。
公共事業が少なくなったから山村が寂れたのではなく、根本的には地元の産業が衰退し、そのことにより、それらの地方自治体の財政力が低下し、更にそのことで、益々、地元の産業が衰退し、人口が減少していくという負の連鎖によるものが最大の要因だと思う。
立派な道路を造っても人口は減少していくのだ。寧ろ、それが人口の減少を助長している可能性さえ考えられる。
若い人達が地元に残りたいと希望しても、地元では生活していけないというのが現実なのである。
いくら公共事業を増やしても、この根本部分の原因が解決しないことには日本の山村部の課題は解決しない。

一例をあげたが、本来、国の予算の使い方として、この根本部分をどう解決していくかという視点からの予算配分が重要だと思うのだが、そうなっていないのが現状だろう。
多分、ここ数年で、人口数百人規模のの限界集落に立派な道路や農道が出来るかもしれない。
しかし、道路ができても人口は減り続けるだろうし、高齢化は進むだろう。
他の公共事業でも、同様なことが起こりうるだろう。
中国でスモッグが発生すると世界に影響が出る時代である。
中国の環境問題を支援することに予算を使えば日中関係も良くなり、世界の国々からも感謝されるのではないだろうか。
お金をいくら使うかではなく、どう使うかが問われる時代になっているように思えてならない。






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